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WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の主要指標にあるワーキングメモリ指標(WMI)の伸ばし方

  • 2024/10/09

WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の主要指標にあるワーキングメモリ指標(WMI)の伸ばし方

WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children, Fifth Edition)検査におけるワーキングメモリ指標(Working Memory Index, WMI)は、子どもの短期記憶や情報を操作する能力を評価します。

ワーキングメモリは、情報を一時的に保持しながら、それを必要に応じて操作したり、他の情報と組み合わせて使用したりする能力です。

ワーキングメモリは、学業成績、特に数学や読解力、問題解決において非常に重要です。

ワーキングメモリ指標(WMI)を構成するテストには、「数唱(Digit Span)」と「絵のスパン(Picture Span)」が含まれています。

これらの下位検査は、聴覚からの情報を記憶したり、視覚からの情報を記憶したりする能力を評価します。

ワーキングメモリ指標(WMI)の数値を伸ばすためには、日常生活や学習の中で、情報を保持しながら操作する力を鍛えるトレーニングを取り入れることが重要です。

以下では、ワーキングメモリ指標(WMI)の数値を伸ばすために家庭と学校でできる具体的なアプローチを説明します。

1. 数唱を伸ばすために家庭でおこなうこと、学校でおこなうこと

数唱(Digit Span)は、聴覚情報を正しく記憶し、その情報を操作する能力を測定します。

順番どおりに情報を記憶する検査と、逆に記憶する検査が含まれています。

この能力を伸ばすためには、短期記憶と情報を操作する能力を向上させることが重要です。

家庭でおこなうと良いこと

さまざまな情報を暗記するゲームを家庭内で取り入れます。

たとえば、親がいくつかの情報を読み上げ、それを子どもに順番に復唱させたり、逆に復唱させたりするトレーニングを行います。

少しずつ情報の量を増やすことで、ワーキングメモリを鍛えます。

視覚情報を伴う暗記トレーニング

さまざまな情報を一度に記憶させることで、ワーキングメモリをさらに発展させます。

たとえば、1枚の紙にいくつかの形や色を描き、数秒見せた後に、それを記憶してもらい、答えさせることで視覚的ワーキングメモリを鍛えます。

日常のリストを覚えさせる買い物リストや週末の予定表など、日常生活で覚えるべきリストを一緒に作り、それを暗記させる練習をします。

たとえば、「スーパーで買うものは、牛乳、卵、パン」というリストを記憶し、実際に買い物に行く際に子どもがそのリストを思い出して行動できるかを確認します。

学校でおこなうこと

口頭での指示を覚える活動授業中に、教師が子どもに短い指示を出し、その指示を順番通りに実行させる活動を取り入れます。

たとえば、「まずノートを開いて、次に教科書のページを開き、最後に筆箱を出してください」といった指示を与え、それをすべて順序通りに実行させる練習を行います。

リズムや音楽を使った記憶練習音楽やリズムに合わせて数字や言葉を覚える練習を行います。

音楽のリズムに合わせて数字を唱えることで、視覚や聴覚のワーキングメモリが同時に鍛えられます。

例えば、簡単なリズムに合わせて「りんご、バナナ、みかん」と唱えさせることで、順番に記憶するスキルを向上させます。

2. 絵のスパンを伸ばすために家庭でおこなうこと、学校でおこなうこと

絵のスパン(Picture Span)は、頭の中で計算を行い、問題を解決する能力を測定します。

これは、視覚的な情報を一時的に保持しながら、それを操作して解決策を導き出す力を評価します。

この能力を伸ばすためには、視覚情報を操作する力を鍛えることが重要です。

家庭でおこなうこと

視覚記憶トレーニング

日常の中で視覚記憶を使う機会を増やします。

たとえば、買い物の際に必要なものを記憶する練習を行います。

また、明日の学校の準備をする際に明日の持ち物を視覚的に捉えて記憶するなど、実生活で役立つ形で視覚記憶を鍛えます。

神経衰弱

トランプの神経衰弱をを家族で楽しむことで、楽しくワーキングメモリを強化します。

たとえば、神経衰弱をする際、52枚のカードで多い場合は枚数を半分にしたり、マークを2種類にしぼったりして実施します。

また、トランプだとつまらない場合は、絵の描いてある絵カードを用いておこなうと良いでしょう。

これは、さまざまなパターンを保持しながら操作する能力を高める効果があります。

学校でおこなうこと

数的操作を含む問題解決

算数の授業で、複雑な数的操作を伴う問題を解く練習を行います。

たとえば、複数の数字を一度に計算する問題や、文章問題で必要な情報を抽出して頭の中で操作する練習を増やします。

これは、特に数学的思考力の強化につながります。

グループでの算数のディスカッション

グループで算数の問題を解く際に、メンバーが頭の中で行った計算を互いに確認する機会を作ります。

これにより、子どもたちは自分の考えたプロセスを説明しながら、他者の考え方も学ぶことで、数的ワーキングメモリを強化することができます。

3. ワーキングメモリ全体を伸ばすための総合的なアプローチ

家庭でおこなうこと

記憶ゲームやカードゲームを活用する

ワーキングメモリを鍛えるゲーム(例えば「神経衰弱」や「サイモン」など)を家庭で定期的に行います。

これらのゲームは、情報を短期的に保持し、それを思い出して操作する能力を高めるのに役立ちます。

複数の指示を与えて実行させる日常の中で、複数のステップを含む指示を与え、それを順番通りに実行させる練習を行います。

たとえば、「まずリビングに行って本を持ってきて、それから台所に行ってコップを取ってきてください」といった指示を出し、それを正確に実行させることで、ワーキングメモリの訓練になります。

学校でおこなうこと

マルチステップの課題を与える授業中に、複数のステップを踏む必要がある課題を与え、それを順番通りに行わせる活動を取り入れます。

たとえば、社会の授業で「まず資料を読んで、次にその内容をノートにまとめ、その後グループで話し合う」といった活動を行います。

これにより、ワーキングメモリのトレーニングを日常的に行うことができます。

教科横断的なプロジェクト

異なる教科をまたぐプロジェクトを行い、複数の情報を同時に処理し、それを記憶しながら課題を進める練習をします。

たとえば、理科と算数を組み合わせたプロジェクトで、数値データを集め、分析し、その結果をもとに報告書を作成するなど、複数のステップを組み合わせた活動を行うことが効果的です。

WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の主要指標にあるワーキングメモリ指標(WMI)の伸ばし方についてのまとめ

WISC-V(ウィスク5)検査におけるワーキングメモリ指標(WMI)の数値を伸ばすためには、短期記憶と情報操作力を鍛えるための多様なアプローチが必要です。

家庭では、聴覚情報を記憶するゲームや、日常生活の中での情報操作、指示の記憶と実行を通じて、ワーキングメモリの訓練を自然に取り入れます。

また、学校では、複数ステップの課題や数的な問題解決、グループディスカッションを通じて、情報を保持しながら操作する力を養います。

これらの取り組みを日常的に行うことで、子どものワーキングメモリ能力が向上し、学業成績や日常生活でのパフォーマンスの向上に寄与します。

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発達障害ラボ 車重徳

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自閉症スペクトラム(ASD)や広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)やグレーゾーンの子の支援やトレーニングに定評のある発達障害ラボの室長です。 知能検査「WISC-Ⅴ(ウィスク5)」の実施や既存の結果による分析・アドバイスも行っています。 また、近年増えている起立性調節障害やHSC(敏感過ぎる子ども)の対応方法などにも定評があります。