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WISC-Ⅴ検査の主要指標であるワーキングメモリ指標(WMI)が低いと学校でどんな問題が起こるのか?

  • 2024/08/28

WISC-Ⅴ検査の主要指標であるワーキングメモリ指標(WMI)が低いと学校でどんな問題が起こるのか?

ワーキングメモリ指標(WMI: Working Memory Index)は、WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children - Fifth Edition)の主要指標の一つであり、短期間の記憶容量と、それを操作しながら情報を処理する能力を評価します。

ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、情報を一時的に保持しながら同時に操作することが苦手であるため、学校生活においてさまざまな困難を経験する可能性があります。

以下に、ワーキングメモリ指標(WMI)が低い場合に学校生活で考えられる具体的な困難について説明します。

①複数の指示を同時に理解・実行する困難

ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、複数のステップからなる指示を理解し、それを記憶して実行するのが難しいことがあります。

学校生活では、教師が一度に複数の指示を与えることが多いため、これを正確に記憶して行動に移すことができないと、課題を間違えたり、時間内に終わらせることができなかったりします。

具体例

たとえば、教師が「ノートを開いて、10ページの問題を解いてから、後ろのプリントを取って、その内容を教科書に書き写しなさい」という指示を出した場合、ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、これらの指示を順番通りに覚えることが難しく、途中で何をすべきかを忘れてしまうことがあります。

その結果、課題を正しく完了できず、成績にも影響が出る可能性があります。

②読解力の低下

ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、読解力にも影響を受けることがあります。

特に、文章を読みながらその内容を頭の中で保持し、次に進むことが難しいため、長文読解や文章の要約が苦手になります。

また、重要な情報を記憶しながらその場で理解することができないため、文章全体の理解が浅くなりがちです。

具体例

国語の授業で、長文を読んでからその内容に基づいて質問に答える課題が出された場合、ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、読み進めるうちに文章の前半の内容を忘れてしまい、質問に対して正確に答えることが難しくなります。

これにより、テストの成績が低下する可能性があります。

③計算や数学の問題解決の困難

ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、数学の授業で複数のステップからなる計算や問題解決に困難を感じることが多いです。

特に、暗算や筆算での途中の計算結果を一時的に記憶し、次のステップに進む作業が苦手であり、これが計算ミスにつながることがあります。

具体例

たとえば、複数の数を足して、その結果にさらに何かを掛けるといった多段階の計算問題が出されたとき、ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、最初の計算結果を記憶するのが難しく、次のステップに進む際にミスをしやすくなります。

その結果、最終的な答えが誤ってしまい、数学の成績が低くなる可能性があります。

④課題や宿題の管理の難しさ

ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、複数の課題や宿題を同時に管理し、順序立てて取り組むことが難しいと感じることが多いです。

特に、複数の科目で異なる種類の宿題が出された場合、それらを適切に優先順位をつけて進めることが苦手です。

具体例

たとえば、ある日に国語、数学、理科の宿題がそれぞれ出された場合、ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、どの順番で宿題をやるべきかを決めるのが難しく、結局どれも途中で終わってしまうことがあります。

これにより、全体の学習効率が低下し、提出期限を守れないこともあるでしょう。

⑤テストやクイズでの不利

ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、テストやクイズでのパフォーマンスが低下することがあります。

特に、時間制限のある状況で、複数の情報を同時に処理する必要がある場合に、不利になることが多いです。

短期間に多くの情報を記憶し、それを正確に引き出して答えるのが難しいため、結果として正答率が下がることがあります。

具体例

例えば、英語の単語テストで、リストからいくつかの単語を覚えて、それをスペルアウトする課題が出されたとき、ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、テストの間に覚えた単語を忘れてしまい、正しいスペルを思い出せないことがあります。

これにより、テストの点数が低くなり、全体の成績に影響を与える可能性があります。

WISC-Ⅴ検査の主要指標であるワーキングメモリ指標(WMI)が低いと学校でどんな問題が起こるのかについての結論

ワーキングメモリ指標(WMI)が低い場合、子どもは学校生活においてさまざまな困難に直面することが考えられます。

具体的には、複数の指示を同時に理解・実行することの難しさ、読解力の低下、数学の問題解決における困難、課題や宿題の管理の難しさ、テストやクイズでの不利などが挙げられます。

これらの困難は、子どもの学業成績や自信に影響を与える可能性があるため、教師や保護者は、子どものワーキングメモリ指標(WMI)の低さに早期に気づき、適切なサポートや指導を提供することが重要です。

たとえば、手順を分かりやすく示したり、視覚的な補助教材を使用することで、子どもが学校生活でより良い結果を得られるよう支援することが求められます。

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発達障害ラボ

車 重徳

自閉症スペクトラム(ASD)や広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)やグレーゾーンの子の支援やトレーニングに定評のある発達障害ラボの室長です。 知能検査「WISC-Ⅴ(ウィスク5)」の実施や既存の結果による分析・アドバイスも行っています。 また、近年増えている起立性調節障害やHSC(敏感過ぎる子ども)の対応方法などにも定評があります。