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WISC-Ⅴ検査の主要指標である流動性推理指標(FRI)が低いと学校でどんな問題が発生するのか?

  • 2024/08/27

WISC-Ⅴ検査の主要指標である流動性推理指標(FRI)が低いと学校でどんな問題が発生するのか?

流動性推理指標(FRI: Fluid Reasoning Index)は、WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children - Fifth Edition)の主要指標の一つで、抽象的な推論力や問題解決能力を評価するものです。

流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、特に新しい情報に基づいて柔軟に考える能力や、複雑な問題に対する解決策を見つける能力において困難を抱えることが多く、これが学校生活におけるさまざまな困難につながる可能性があります。

以下に、流動性推理指標(FRI)が低い場合に学校生活で考えられる具体的な困難について説明します。

①算数(数学)や理科の授業での理解困難

流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、数学や理科の授業で新しい概念や抽象的な理論を理解するのが難しいことがあります。

これらの科目では、変数間の関係を理解し、未知の問題に対して論理的に考え、答えを導き出すことが求められます。

流動性推理指標(FRI)が低いと、こうした推論を必要とする課題に取り組む際に、理解や応用が困難になることがあります。

具体例

例えば、数学の授業で、比例や反比例の概念を学ぶ際、流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、2つの量の間の関係を理解するのに時間がかかり、問題を解く際に誤った計算をすることがあります。

また、理科の授業で、光や音の波の性質について学ぶときも、抽象的な概念の理解が難しく、実験結果の分析や解釈に困難を感じることがあるでしょう。

②問題解決における柔軟性の欠如

流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、問題解決において柔軟性が欠けていることが多いです。

彼らは、新しい方法や異なるアプローチを試すのが苦手であり、既存のルールやパターンに固執してしまう傾向があります。

これにより、複雑な問題や未知の課題に直面したときに、適切な解決策を見つけるのが難しくなります。

具体例

例えば、複数のステップが必要な算数の文章題が出題されたとき、流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、一つの方法に固執してしまい、別の解決策を考えることができず、問題を解くのに時間がかかるか、間違った答えを導き出してしまうことがあります。

また、プロジェクトベースの学習で、新しい方法を試す必要がある場面でも、適切なアプローチを見つけるのが難しく、グループ内での役割を果たせなくなることがあります。

③抽象的な思考や論理的推論の困難

流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、抽象的な思考や論理的推論を必要とする課題に対して苦手意識を持ちやすいです。

特に、理論的な概念を理解したり、複数の要素を統合して結論を導く必要がある場面では、つまずきやすくなります。

具体例

例えば、社会科の授業で、歴史的な出来事の原因と結果を分析する課題が出された場合、流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、複数の出来事の関連性を理解するのが難しく、正確な因果関係を見つけることができないかもしれません。

その結果、テストや作文での評価が低くなりがちです。

④創造的思考や発想力の制限

流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、創造的な思考や新しいアイデアを生み出す力が制限されることが多いです。

創造的な課題やオープンエンドな質問に対して、斬新な答えを見つけるのが難しく、他の子どもたちと比べて発想力に欠けることがあります。

具体例

例えば、美術の授業で「自由にテーマを決めて作品を作りなさい」という課題が出された場合、流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、何を描いたり作ったりすればよいか分からず、他の子どもたちのアイデアを真似するだけに終わってしまうことがあります。

これにより、自信を失ったり、創造的な活動に対する興味を失う可能性があります。

⑤適応力の欠如による学習困難

流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、新しい状況や変化に対して適応するのが難しく、学習環境の変化に対応する際に困難を感じることがあります。

特に、複数の解決策を模索する必要がある課題に取り組むときに、適切なアプローチを見つけることができないことがあります。

具体例

新しい単元に移った際に、流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、過去の学習内容と新しい内容を結びつけて理解するのが難しく、結果として新しい知識の定着が遅れることがあります。

例えば、科学の授業で異なる分野の知識を統合して考える必要がある場合、流動性推理指標(FRI)が低い子どもは、過去に学んだ知識をうまく活用できず、理解が浅くなることがあります。

WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の主要指標である流動性推理指標(FRI)が低いと学校でどんな問題が生じるかについての結論

流動性推理指標(FRI)が低い場合、子どもは学校生活においてさまざまな困難に直面する可能性があります。

具体的には、算数(数学)や理科の授業での理解困難、問題解決における柔軟性の欠如、抽象的な思考や論理的推論の困難、創造的思考や発想力の制限、適応力の欠如などが挙げられます。

これらの困難は、学業成績や自己肯定感に影響を与える可能性が高いため、教師や親は早期に流動性推理指標(FRI)の低さに気付き、適切なサポートや指導を提供することが重要です。

たとえば、問題解決において段階的にアプローチを教えたり、視覚的な補助教材を使ったりすることで、子どもが学習に対して前向きに取り組めるよう支援することが求められます。

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発達障害ラボ

車 重徳

自閉症スペクトラム(ASD)や広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)やグレーゾーンの子の支援やトレーニングに定評のある発達障害ラボの室長です。 知能検査「WISC-Ⅴ(ウィスク5)」の実施や既存の結果による分析・アドバイスも行っています。 また、近年増えている起立性調節障害やHSC(敏感過ぎる子ども)の対応方法などにも定評があります。