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WISC-Ⅴ検査の補助指標である聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)から子どもの何が分かるのか?

  • 2024/08/21

WISC-Ⅴ検査の補助指標である聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)から子どもの何が分かるのか?

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI: Auditory Working Memory Index)は、WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children - Fifth Edition)の補助指標の一つであり、聴覚的に得た情報を一時的に保持し、その情報を操作する能力を測定します。

この指標は、特に言語的な情報処理能力や注意力、課題遂行能力に関する子どもの強みや弱みを明らかにするために用いられます。

以下に、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の検査結果から何が分かるのかを、具体例を挙げて説明します。

①聴覚的な情報処理能力

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、子どもが聴覚的に得た情報をどれだけ効果的に処理できるかを示します。

これは、特に言語を使った学習や、指示を理解して実行する能力に関連しています。

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、教師や親からの指示を迅速に理解し、適切に応答することができます。

一方、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、複雑な指示や言語的な情報を処理するのに時間がかかり、指示を正確に理解するのが難しくなることがあります。

具体例

授業中に教師が「教科書の3ページを開いて、最初の段落を読んで、その後、次のページにある図を見てください」という指示を出した場合、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、この一連の指示を記憶し、順番通りに正確に実行できます。

しかし、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、指示の一部を忘れたり、順番を間違えたりすることがあり、タスクの遂行が遅れる可能性があります。

②言語的な記憶とリテンション(保持力)

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、子どもが聴覚的に受け取った情報を一時的に記憶し、それを短期間保持する能力を評価します。

言語的な記憶が得意であれば、授業中に聞いた説明や対話の内容をしっかりと覚え、後でそれを使って問題解決を行うことができます。

一方、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い場合は、記憶の保持力が弱く、情報を長時間覚えておくのが難しいことがあります。

具体例

例えば、国語の授業で教師が物語の一部を口頭で説明し、その後にその内容について質問をする場合、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、物語の重要なポイントをしっかりと記憶し、質問に対して的確に答えることができます。

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、話の一部を忘れてしまったり、質問に対して曖昧な答えをしてしまったりする可能性があります。

③複数のタスクの処理能力

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、子どもが複数のタスクを同時に処理する能力、つまり「マルチタスキング能力」を評価する上でも重要です。

複数の情報を同時に保持し、必要に応じてそれらを使い分けることができるかどうかが測定されます。

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、複数のタスクを順序よく処理し、効率的に課題を遂行することができます。

具体例

例えば、算数の授業で「3つの数を覚えて、その後にそれらの数の合計を計算しなさい」という課題が出た場合、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、数を頭の中で正確に保持しながら計算を行い、正しい答えを出すことができます。

一方、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、数を保持するのが難しく、計算の途中で数を忘れてしまったり、計算ミスをしてしまうことがあるかもしれません。

④学習における集中力と注意力

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、子どもの集中力や注意力の維持にも深く関わっています。

聴覚的なワーキングメモリが強い子どもは、長時間にわたる授業や課題でも集中力を保ち、注意深く取り組むことができます。

これに対して、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、集中力が途切れやすく、長時間の課題遂行や注意力を必要とするタスクでのパフォーマンスが低下することがあります。

具体例

例えば、授業中に長い説明を聞き、それに基づいて問題を解く課題が与えられた場合、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、授業の内容に集中し続け、それを基に問題を解くことができます。

しかし、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、説明の途中で注意が散漫になり、問題を解くための情報をうまく引き出せず、結果的に誤答してしまう可能性があります。

⑤言語的な課題の遂行能力

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点は、言語的な課題を遂行する能力とも密接に関連しています。

これには、口頭での指示を理解し、それに基づいて行動する力や、言語的な問題を解決する力が含まれます。

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、言語を使った問題解決や指示に基づいた行動が得意です。

具体例

例えば、理科の授業で教師が実験手順を口頭で説明し、その後に実験を行う場合、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、教師の指示を正確に記憶し、それに従って実験を進めることができます。

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、実験手順を部分的に忘れてしまい、実験の結果が不完全になったり、誤った手順を踏んでしまうことがあります。

WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)から子どもの何が分かるのかについての結論

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の結果からは、子どもの聴覚的な情報処理能力、言語的な記憶力、複数タスクの処理能力、集中力と注意力、そして言語的課題の遂行能力が分かります。

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が高い子どもは、口頭での指示に基づいて迅速かつ正確に行動し、学習や日常生活において優れたパフォーマンスを発揮します。

一方、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、複雑な指示を理解するのに苦労し、長時間の課題遂行で集中力が途切れることが多く、特に言語を使った学習において困難を感じやすいです。

これらの情報を基に、教師や親は子どもの学習スタイルやサポートの必要性を理解し、適切な支援を提供することが重要です。

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発達障害ラボ

車 重徳

自閉症スペクトラム(ASD)や広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)やグレーゾーンの子の支援やトレーニングに定評のある発達障害ラボの室長です。 知能検査「WISC-Ⅴ(ウィスク5)」の実施や既存の結果による分析・アドバイスも行っています。 また、近年増えている起立性調節障害やHSC(敏感過ぎる子ども)の対応方法などにも定評があります。