WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である量的推理指標(QRI)から子どもの何が分かるのか?
- 2024/08/20
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である量的推理指標(QRI)から子どもの何が分かるのか?
量的推理指標(QRI: Quantitative Reasoning Index)は、WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children - Fifth Edition)の補助指標の一つで、子どもの数学的思考力や数的推論能力を評価するための指標です。
量的推理指標(QRI)は、子どもが数的な概念を理解し、数値を使った問題を解決する能力を測定します。
この指標は、特に算数や数学に関連する課題でのパフォーマンスを予測するために重要です。
以下に、量的推理指標(QRI)の検査結果から具体的に何が分かるのかを説明します。
①数的推論能力の評価
量的推理指標(QRI)は、子どもが数的な情報をどれだけ効果的に処理し、それを使って推論を行う能力を評価します。
これには、基本的な算数の計算力だけでなく、数的な概念を使って問題を解決する力が含まれます。
量的推理指標(QRI)が高い子どもは、数や数量に関する問題を迅速かつ正確に解決することが得意であり、数学の授業で優れたパフォーマンスを発揮する傾向があります。
具体例
数学の授業で、「X + Y = Z」という基本的な方程式を解く際に、量的推理指標(QRI)が高い子どもは、数の関係性をすぐに理解し、X、Y、Zに適切な値を代入して方程式を迅速に解くことができます。
一方、量的推理指標(QRI)が低い子どもは、数的な関係性の理解に時間がかかり、方程式を解くのに苦労する可能性があります。
②数学的概念の理解
量的推理指標(QRI)のスコアは、子どもがどの程度数学的な概念を理解しているかを示します。
これには、加減乗除の基本的な演算だけでなく、分数や小数、比率、割合、代数的な思考に至るまで、さまざまな数学的概念の理解が含まれます。
量的推理指標(QRI)が高い子どもは、これらの概念をしっかりと理解し、それを応用する能力に優れています。
具体例
算数の授業で、分数の足し算や引き算に取り組む際、量的推理指標(QRI)が高い子どもは、異なる分母を持つ分数の計算をスムーズに行い、正しい答えを導き出すことができます。
例えば、1/2+1/3の計算で、量的推理指標(QRI)が高い子どもはすぐに最小公倍数を見つけて計算を進めることができます。
一方、量的推理指標(QRI)が低い子どもは、分母の揃え方や計算手順に戸惑い、結果として間違った答えを出すことがあるかもしれません。
③問題解決能力と数学的思考力
量的推理指標(QRI)は、子どもが数的な問題を解決する際の戦略的思考力や柔軟性も評価します。
数学的思考力とは、単に計算を行う能力だけでなく、問題に対して論理的かつ体系的にアプローチし、複数のステップを経て解決策を見つける能力を指します。
量的推理指標(QRI)が高い子どもは、複雑な数的問題を解くために必要な手順を順序立てて考えることができます。
具体例
算数のテストで、「ある商品の価格が20%引きで、元の価格は500円です。割引後の価格はいくらですか?」という問題が出た場合、量的推理指標(QRI)が高い子どもは、まず500円の20%を計算し、それを引くという手順を正確に実行できます。
一方、量的推理指標(QRI)が低い子どもは、割引の計算方法を理解するのに時間がかかり、問題の解決に苦労することがあります。
④将来の学習パフォーマンスの予測
量的推理指標(QRI)は、子どもの将来的な数学に関する学習パフォーマンスを予測する指標としても重要です。
量的推理指標(QRI)が高い子どもは、数学の成績が良好であることが多く、将来的に数学を得意とする可能性があります。
これに対して、量的推理指標(QRI)が低い場合、数学に関連する科目での成績が伸び悩むことが予想されるため、早期の支援や補助が必要となる場合があります。
具体例
中学校で代数や幾何のようなより高度な数学的内容に進む際、量的推理指標(QRI)が高い子どもは、新しい概念を素早く理解し、応用することができます。
このため、代数の方程式や幾何学の定理を使った問題にもスムーズに取り組むことができます。
一方、量的推理指標(QRI)が低い子どもは、新しい概念を理解するのに時間がかかり、特に抽象的な数学的概念に対する苦手意識が強くなる可能性があります。
⑤日常生活での数的能力
量的推理指標(QRI)は、日常生活での数的能力にも影響を与えます。
数的推論が得意な子どもは、買い物や家計の管理、ゲームなどの日常生活においても数を使った意思決定や問題解決が得意です。
これにより、日常的な場面での自信や自主性が高まることがあります。
具体例
家族で買い物に行く際、量的推理指標(QRI)が高い子どもは、割引やセール価格を素早く計算して、お得な買い物ができるように考えることができます。
また、ボードゲームなどの娯楽活動でも、数的な戦略を駆使して勝つための計算を瞬時に行うことができるでしょう。
WISC-Ⅴ検査の補助指標である量的推理指標(QRI)から子どもの何が分かるのかについての結論
量的推理指標(QRI)の結果からは、子どもの数的推論能力、数学的概念の理解度、問題解決能力、将来の学習パフォーマンス、そして日常生活での数的能力が分かります。
量的推理指標(QRI)が高い子どもは、数学の授業やテストで優れたパフォーマンスを発揮し、数学的思考力が求められる場面で自信を持って取り組むことができます。
一方で、量的推理指標(QRI)が低い子どもは、数的な概念の理解や問題解決において困難を感じやすく、早期の支援が学習の成功に重要となるでしょう。
教師や親は、量的推理指標(QRI)の結果を基に、子どもの学習支援や将来的な教育計画を立てることができます。
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