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ゲームで本当のストレス解消はできない理由

  • 2026/01/30

「ゲームでストレス解消ができる」と一般に言われることは多いのですが、臨床の現場から見ると、「ゲームは一時的な気晴らしにはなっても、本当の意味でのストレス解消にはなりにくい」という側面があります。

その理由は、ストレスの性質と、ゲームが脳や心に与える影響のズレにあります。

まず、ストレスとは本来「外界からの負荷に対して心身が緊張状態に置かれている状態」を指します。

本当のストレス解消とは、この緊張をいったん下げ、感情や身体を回復させることです。

しかしゲームは、多くの場合「リラックス」ではなく「興奮」を引き起こします。

画面の光、音刺激、時間制限、勝敗、報酬設計などは、脳を休ませるどころか交感神経を活性化させ、覚醒状態を高めます。

つまり、疲れている脳にさらに負荷をかけている状態になりやすいのです。

次に重要なのが、ゲームによる達成感の性質です。

ゲームでは、短時間で結果が出て、努力と報酬が分かりやすく結びついています。

これはドーパミンを効率よく分泌させ、「スッキリした」「楽しかった」という感覚を生みます。

しかしこの快感は非常に短命で、現実の問題や感情の整理には結びつきません。

ストレスの原因が人間関係、不安、自己否定感などの場合、ゲームを終えた瞬間にそれらはそのまま残り、むしろ「何も解決していない自分」に直面して空虚感が強まることもあります。

また、ゲームは感情処理を先送りにする手段になりやすい点も見逃せません。

本来、怒りや悲しみ、不安といった感情は、言葉にしたり、誰かに聞いてもらったり、身体を動かしたりすることで整理されていきます。

しかしゲームに没頭している間は、感情に向き合わずに済むため、一時的に楽になります。

その結果、「ストレスを感じる→ゲームで逃げる→根本は解決しない」という循環が固定化し、ストレス耐性そのものが育ちにくくなります。

さらに、長時間のゲームは睡眠の質を下げ、生活リズムを乱しやすくなります。

睡眠不足や身体疲労は、ストレスへの耐性を著しく低下させるため、「ゲームで解消したつもりが、翌日はさらにイライラしやすい」という悪循環に陥るケースも少なくありません。

本当のストレス解消とは、心身を「回復モード」に戻すことです。

安心できる人との会話、身体をゆっくり動かすこと、十分な睡眠、感情を言葉にする時間などは即効性こそ低いものの、確実にストレスを下げる働きをします。

ゲームが悪いのではなく、ゲームは解消ではなく「一時的な気晴らし」にすぎないという位置づけを誤ることが問題なのです。

ストレスから回復する力は、逃げ続けることで育つのではなく、感じて、整理して、休むことで育ちます。

その視点を持つことが、本当の意味で心を守る第一歩になります。

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発達障害ラボ

車 重徳

《個別の案件はオンライン相談まで》

自閉症スペクトラム(ASD)や広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)やグレーゾーンの子の支援やトレーニングに定評のある発達障害ラボの室長です。 知能検査「WISC-Ⅴ(ウィスク5)」の実施や既存の結果による分析・アドバイスも行っています。 また、近年増えている起立性調節障害やHSC(敏感過ぎる子ども)の対応方法などにも定評があります。