WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の結果は低いのに、なぜ学校の勉強は問題なくついていける子どもがいるのか
- 2026/01/20
WISC-Ⅴ(ウィスク5)の検査結果が全体的に低めであるにもかかわらず、学校の勉強には大きな困難を示さず、授業についていける子どもは確かに存在します。
この現象は決して矛盾ではなく、「知能検査の数値」と「学校適応としての学力」が異なる性質の力で成り立っていることを理解すると説明がつきます。
まず前提として、WISC-Ⅴ検査は子どもの認知機能の“純粋な力”を測定する検査です。
言語理解、視空間認知、推理力、ワーキングメモリ、処理速度といった要素を、制限時間や新規課題という条件下で評価します。
一方、学校の勉強は、日々の積み重ね、反復、予測可能な流れの中で行われます。
この「慣れ」と「経験」が、検査結果以上の力を引き出すことがあります。
特に大きいのが、学習態度や生活習慣の安定です。
授業を最後まで座って聞く、板書を写す、宿題を毎日こなす、分からないときに質問する、といった基本的な学習行動が身についている子どもは、認知能力が平均より低くても学習内容を確実に積み上げていくことができます。
これは知能というより「実行機能」や「自己調整力」が支えている力です。
また、WISC-Ⅴ検査では測りきれない「学習に有利な特性」を持っている場合もあります。
例えば、記憶が得意で、教科書の内容を丸ごと覚えられる子、手続き的な学習が得意で、計算や漢字を反復で定着させられる子などです。
これらの力は知能検査の得点には反映されにくい一方で、学校の勉強とは非常に相性が良い能力です。
さらに、環境要因も重要です。
家庭での学習習慣、保護者の適切なサポート、教師との相性、安心して学べる学級環境が整っていると、子どもは自分のペースで理解を深めることができます。
テスト場面の緊張や初見課題が苦手な子でも、日常の授業では力を発揮できるのです。
情緒の安定も見逃せません。WISC-Ⅴ検査の数値が低く出る子の中には、緊張しやすい、失敗を恐れる、検査場面に慣れないといった理由で本来の力を出し切れなかったケースもあります。
しかし、学校では「できて当たり前」の安心感の中で学べるため、結果として安定した学習が可能になります。
このように、WISC-Ⅴ検査の結果が低くても学校の勉強についていける子どもは、「能力を支える土台」がしっかりしている状態だと言えます。
知能検査はあくまで一つの指標であり、子どもの学ぶ力のすべてを決めるものではありません。
大切なのは数値だけで判断せず、その子がどの環境で、どのように力を発揮しているのかを丁寧に見る視点なのです。
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発達障害ラボ
車 重徳
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