処理中です...

父親はなぜ、我が子の発達の遅れになかなか気が付かないのか

  • 2025/12/31

私は長年、発達障害や育児相談に携わってきました。

母親が子どもの発達の遅れに早く気づき行動を起こす一方、父親が理解しにくい現象は、臨床で頻繁に観察されます。

これは個人の性格ではなく、心理・社会・生物学的要因が絡みます。

以下に主な理由を挙げます。

まず、日常的な関与度の違いです。

多くの家庭で母親が育児の主担当者となり、子どもの細かな変化(言葉の遅れ、社交性の欠如など)を日常的に観察します。

一方、父親は仕事中心で関わる時間が少なく、週末の短い接触では「元気そう」と見過ごしやすいです。

研究(APAの育児調査)でも、育児時間が多い親ほど発達の異常に敏感と示されています。

次に、認知バイアスの影響です。

父親は「正常性バイアス」が強く働き、「うちの子は大丈夫」と問題を否定します。

これは防衛機制で、自分の子に「欠陥」があることを認めたくない心理です。

特に男性は社会的に「強い父親像」を求められ、弱さを認めるのが難しく、母親の指摘を「心配しすぎ」と片づけます。

感情調整の性差(テストステロン影響)も関与し、男性は問題を論理的に最小化する傾向があります。

さらに、教育・知識の不足です。

父親世代の多くは発達障害の知識が薄く、「個性」「遅咲き」と楽観視します。

母親はママ友ネットワークや育児書で情報を得やすいのに対し、父親は孤立しがち。

加えて、過去の経験(自分の幼少期が問題なく育った場合)が投影され、「自然に良くなる」と信じます。

また、感情的な抵抗です。

発達の遅れを認めることは、父親としての「失敗感」や経済的負担(療育費用)を伴うため、無意識に避けます。

家族療法では、こうした父親の「喪失感」を扱い、理解を促します。

この差は文化的なジェンダーロールが助長しますが、近年は父親の育児参加が増え、改善傾向にあります。

父親へ:母親の気づきを尊重し、一緒に専門相談を。

児童精神科や発達センターで検査を受ければ、早期介入で子どもの未来が変わります。

家族一丸で取り組めば、絆が深まります。

発達障害ラボ

車重徳

《もっと詳しく学びたい人はオンライン相談をご利用ください》

自閉症スペクトラム(ASD)や広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)やグレーゾーンの子の支援やトレーニングに定評のある発達障害ラボの室長です。 知能検査「WISC-Ⅴ(ウィスク5)」の実施や既存の結果による分析・アドバイスも行っています。 また、近年増えている起立性調節障害やHSC(敏感過ぎる子ども)の対応方法などにも定評があります。