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YouTubeを学習に用いて良いのか?

  • 2025/12/26

臨床の現場で非常によくある相談です。

結論から言えば、「学習のため」という理由でのYouTube使用は、放置すると学習の質を確実に下げやすいため、早めに枠組みを整える必要があります。

まず理解しておきたいのは、子どもが嘘をついているとは限らない、という点です。

多くの子どもは「学習系動画を見ている」という自己認識を本気で持っています。

YouTubeはおすすめ機能によって、学習動画→関連動画→娯楽動画へと自然に流れる構造になっており、本人の意思とは別に「脱線」が起こります。

つまり問題は意志の弱さではなく、「仕組み」です。

次に重要なのは、YouTubeを「道具」として使えているか、「環境」に飲み込まれているかの見極めです。

学習に有効な動画活用は、

✅目的が明確(例:この問題の解き方を確認する)

✅視聴時間が短い(数分〜10分程度)

✅視聴後に手が動く(ノートに書く・問題を解く)

という条件が揃います。

一方で、

✅動画を探す時間が長い

✅見終わっても机に戻らない

✅「もう1本だけ」が続く

場合、学習ではなく「報酬探索行動」に切り替わっています。

対応でやってはいけないのは、「信用して任せる」と「全面禁止」の両極端です。

前者は依存を助長し、後者は抜け道探しを生みます。

現実的で効果的なのは、「使用ルールを大人が構造化すること」です。

具体的には、

①「動画で調べる前に、まず自力で5分考える」

②「見る動画は事前に決める(チャンネル固定)」

③「視聴は親の目の届く場所・画面共有」

④「動画はタイマーで10分以内」

⑤「見た後に、何が分かったかを言語化させる」

といった枠組みが有効です。

特に⑤は、学習利用か娯楽利用かを見分ける強力な指標になります。

また、発達特性(ADHD傾向、処理速度の弱さ、視覚優位など)がある子どもほど、動画は「楽に分かった気になる」反面、「定着しにくい」という問題もあります。

その場合、動画は導入に限定し、最終的には紙と鉛筆に戻す設計が不可欠です。

大切なのは、「YouTubeが悪い」という話にしないことです。

論点は常に「学習の主体は誰か」「主導権を握っているのは誰か」です。

主導権がYouTube側に移っていると感じた時点で、介入は必要です。YouTubeは薬にも毒にもなります。

だからこそ、子どもの自己管理能力に任せきるのではなく、大人が「学習として使える形」に翻訳して渡す。

それが、長期的に子どもの学ぶ力を守る関わり方です。

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発達障害ラボ

車 重徳

《もっと詳しく学びたい方はオンライン相談までどうぞ》

自閉症スペクトラム(ASD)や広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)やグレーゾーンの子の支援やトレーニングに定評のある発達障害ラボの室長です。 知能検査「WISC-Ⅴ(ウィスク5)」の実施や既存の結果による分析・アドバイスも行っています。 また、近年増えている起立性調節障害やHSC(敏感過ぎる子ども)の対応方法などにも定評があります。